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PAACニュース196号:遡及的検討:頸部固有受容感覚に異常がある軍人集団において、軽度の外傷性脳障害後の眩暈に対する頸椎固有受容感覚の再教育の効果

2021/01/20

要約
目的:今回の研究は、頸椎固有受容感覚の(cervical spine proprioceptive:CSP)の異常が見られ、軽度の外傷性脳障害(traumatic brain injury:TBI)による(ふらふらする)眩暈(dizziness)の患者に対する2つの治療の転帰を評価する事を目標としていた。
方法:2009年から2013年にかけて、標準的な治療(vestibular rehabilitation therapy:VRT:前庭機能回復療法)か、頸椎固有受容感覚の再教育(cervical proprioceptive retraining:CSPR)の何れかによる、外傷性脳障害後の眩暈の治療を受けていた患者のカルテについて、固有受容感覚記録の再調査を実行した。分析に盛り込んだ全ての患者は、外傷性脳障害後の再発性眩暈のある現役軍人で、少なくとも1回は頸椎固有受容感覚検査で異常が見られた人だった。明確な末梢性の、あるいは中枢性の前庭症状の原因による眩暈の患者、データが不完全な患者、頸椎固有受容感覚検査を受けていない患者、あるいは両方の治療が処方されていた患者は除外した。合計で48人の患者を最終データセットに盛り込んだ(22VRT;26CSPR)。頸部痛の有無に関わらず、頸椎固有受容感覚検査で異常が見られた時には、伝統的な前庭機能回復療法(VRT)と頸椎固有受容感覚再教育(CSPR)を比較した。記録に関する臨床総説を使って、解放時の評価での患者の報告に基づいて、眩暈の改善を決定した(少なくとも2週間の無症状)。
結果:頸椎固有受容感覚検査に異常が見られた時には、前庭機能回復療法を受けた患者と比べると、頸椎固有受容感覚再教育を受けた患者は、眩暈症状に関して30倍の頻度で改善を報告した(調整オッズ比:30.12;95%の信頼区間4.44-204.26、P<.001)。1年間に亘って眩暈のある患者には、改善が見られる事がかなり少なかった。
結論:これらの結果から、前庭機能回復療法を受けた患者と比べると、頸椎固有受容感覚検査で異常が見られた外傷性脳障害後の眩暈患者には、頸椎固有受容感覚の再教育に対するより良い反応が見られた。(J Manipulative Physiol Ther 2019;42:399-406)
検索キーワード:(ふらふらする)眩暈(dizziness);脳震盪;頸部痛;頸椎原性?(cervicalgia);(回転性の)眩暈(vertigo);姿勢バランス

 

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