小児のカイロプラクティックより(整形外科検査:頭部外傷)

2019/05/08

頭部外傷
 産瘤は、産科学的には外傷性とみなされてはいるが、新生児の正常所見である。それは、出血の浸出によって形成される頭皮の局所的な浮腫性の肥厚である。子宮頸部環での圧迫?( pressure of cervical ring )によって、静脈血の還流が妨害される。そのために頸へと繋がっている頭皮の部分に浮腫が生じる。(産瘤のある)頭( caput )は、分娩中に膜組織( membranes :羊膜?)が破裂した後に形成される。 (産瘤のある)頭は、出生時に存在しているが、その後すぐに消失し始める、そして通常 24~36 時間で完全に消失する。死産ならば、これは見られない、子宮収縮が弱いか、子宮頸部?( cervix )が頭部に密着しない。
 産瘤は、頭部の様々な部位に生じる。後頭骨が前方に位置していれば、産瘤は頭頂部に、後頭骨の左側が前方に位置していれば、産瘤は矢状縫合の右側に、後頭骨の右側が前方に位置していれば、産瘤は矢状縫合の左側に、それぞれ形成される。産瘤の大きさは、頭部に影響する圧力量の指標となる。大きな産瘤は、上部からの強い圧迫と下部からの強い抵抗を示唆している。小さな産瘤は、収縮が弱かった、あるいは抵抗が小さかった時に存在する。最大のものは、長い難産の後の収縮した骨盤において見られる。遷延分娩の際には、大きな産瘤は(児頭骨盤)不適合や後頭骨後方位を示唆しているが、その一方で、小さな産瘤は微弱陣痛を示唆しているだろう。
 頭血腫は、新生児の約1% に発生する。これは、骨膜と頭蓋骨の間での出血の結果として生じるが、頭頂骨に最も多く、後頭骨に見られる事はあまり無い。この病因は、静脈の連絡が分娩中に剪断される、あるいは引き裂かれるというものである。浮腫は、下部の頭蓋骨に限定され、縫合線を横切ることは無い。これは、多くは母体の骨盤に胎児の頭蓋が衝突することによるもので、主として遷延分娩という状況で見られる。またこれは、鉗子分娩や吸盤(吸引)分娩の最中に生じる事が多い。骨膜下出血は、生後2日までは緩徐で、目立たないだろう。(出血の)拡張は、生後1週間で生じるだろう、そして腫脹は、数週間残存するだろう。(出血)縁は、頭蓋の陥没骨折と見間違われるかもしれない。
 頭血腫に付随する合併症には、下部の頭蓋骨の線状骨折、血液の吸収による新生児黄疸、(過剰仮骨組織の?)吸収中の石灰化の進行(頭蓋の陥没骨折と誤診しないようにする)、あるいは多くはないが頭蓋内の出血があるだろう。頭血腫が認められる時には、即座に新生児医療の専門医や小児科医へと照会する必要がある。

                       (中略)

 腱膜下、あるいは帽状腱膜下の出血は、後頭前頭筋の2つの部分を結び付けている腱膜下の鞘の下で稀に生じる。これは、分娩時外傷の結果かもしれない、特にこれは、吸盤による娩出の際に見られる、あるいは凝血不全を示唆しているのだろ。この出血は、頭皮全体に広がる事があるが、柔らかい半液状の中心を持ったものかもしれない。腱膜下の大出血による血液の損失からショックが生じるかもしれない、輸血が推奨される。これは、特に黒人の新生児に見受けられる。
 頭蓋骨折は、分娩経過中に頭部外傷を被った時に起こる事が多い、通常、線状骨折は、特別な治療を必要としない。陥没骨折は、鉗子を使用した時、あるいは母体の仙骨岬角によって頭部が圧迫された時に最も生じ易い。大きな骨折は、脳挫傷と関連しているだろう、神経外科の診察は慎重に行う方がよい。頭蓋骨への圧迫は、生後数カ月間持続するだろう。
 頭蓋内の出血は、分娩時外傷の際の頭部傷害の結果としてみられる事が多い。またこれは、伝染病、凝血性障害、血液循環障害、低酸素症、ナトリウム過剰血症、胎児赤芽球症の結果として生じる事もある。これは、小脳テントが引き裂かれて生じる事もある。この出血は、脳室上皮下の部位に最も多くみられる他に、硬膜下層、あるいはクモ膜下層に生じるかもしれない。後者の場合、出血が脳室内へと浸出する、あるいは脳実質の中へと広がっていくだろう。出世時と出生後にみられる一連の症状と臨床的な徴候には、窒息(無呼吸)、心臓や呼吸の機能障害、鋭く甲高く泣く、後弓反張、母乳を吸えない、筋痙攣、引きつけ、過敏症、情動不安が含まれる。体温調節不全の他に、泉門の膨隆が観察されるかもしれない。検眼鏡で瞳孔の異常や網膜の出血が明らかになるかもしれない。モロー反射は、初期には誇張されるか、消失しているだろう。一連の症状は、出生時にみられてから、数日間は消えて、後に再発するだろう。至急に照会する必要がある。

 

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