小児のカイロプラクティックより(新生児の身体検査:頭部)

2019/04/05

頭部
 頭部の形状を記録し、頭蓋成型の範囲を明らかにする。頭部の周囲長を後頭骨‐前頭骨の最大周囲長として記録するべきである。計測した数字は最大長のみ、あるいは記録された2つの最大計測長の平均を記録する。
 成型と産瘤(膣を通過する事による頭皮の浮腫性の肥厚)、出生過程と長期に亘る進入機序や陣痛の結果生じる頭蓋の一時的な左右非対称については正常である。これは、経腟出産ではより一般的だが、分娩前の陣痛が長引いたのならば、帝王切開でも生じるかもしれない。これは2~3日で消える。1週間で完全に正常な形状が回復する。頭蓋成型は、妊娠第3期の胎児の位置と出生の過程に大きく影響される。
 斜頭蓋(平行四辺形の頭部)では後頭骨領域が片側で扁平であるという特徴がある。その病因学は、胎児が子宮内で横たわっていた事がある結果だと思われるが、メディカルでは病理学的な重要性はないと考えられる。しかしカイロプラクティックでは、後頭顆の再成型には大きな意味がある。アンダーソンは、後頭骨基底突起?(basiooccipital angulation)の傾きは、60%近くの症例に生じていると述べている。更に彼は、右利きによって左側の筋組織の頑固な緊張による永続的な歪み-当然として構造的な歪み-が生じる事があると示唆している。年齢が上の児を見ると、斜頭蓋では後頭骨の扁平側と同側に頸部が回転するという生体力学的な制限を伴った斜頸が見られる。
 舟状頭蓋は、頭頂側頭領域の骨が扁平のために長くなった頭部であるとされている。頭蓋の輪郭は、頭蓋治療や非常に弱い力の生体力学的テクニックを行っている臨床家の関心を引く事であるが、この状態は、早産の新生児においてしばいば見られ、年齢と共に幾分消散する。
 頭血腫は、頭蓋骨の外表面上に出血があって、骨膜を持ち上げている時に起こる状態に対して与えられる言葉である。出血によって、骨との境界によって閉じ込められた柔らかい半液状の中心部分を持った腫脹が生じる。時には、これは両側性だが、後頭骨の通常ではない変化が見られる中では、中心部を横切っているだけである。(中略)
 頭蓋泉門は、頭蓋縫合の結合部に限局した膜で覆われたスペースで、出生時から新生児期まで観察できる。前部と後部の泉門は大きさが様々で、正常ならば、柔らかくて平坦である。新生児では大泉門上で僅かに拍動が観察されるのは正常所見だと考えられている。泉門の緊張状態は、児が穏やかに坐っている時に最もよく決定できる。各々の泉門上を検者の第1あるいは2指で優しく触診する。正常な新生児では大泉門で僅かな拍動が生じている。どちらかの泉門に膨隆が観察される時には、これは頭蓋骨の内圧の上昇、髄膜炎、あるいは水頭症によるものかもしれない。そして常に新生児学的検査に照会するべきである。また大きな大泉門は、甲状腺機能低下症に伴ってみられる。圧迫された、あるいは窪んだ泉門は脱水症に伴ってみられる。早期の新生児の発育段階では、脳の成長率が頭蓋骨のそれを一時的に上回ると、泉門は正常な緊張状態のもとで拡張する。マセウェン徴候は、泉門が閉鎖するまでは正常な証拠なのかもしれない。これは、検者の指で頭蓋を叩打した時の"破壺"音( cracked pot sound )という特徴がある。通常、大泉門は9~12 ヶ月までに閉鎖する、そして小泉門は2~4ヶ月で閉鎖する。大泉門と小泉門の間にある第3の泉門は、新生児の約6%に存在している。そして様々な異常に伴ってより生じる傾向がある。
 頭蓋縫合早期癒合症では、頭蓋骨縫合の1つあるいはそれ以上が早期に癒合する事と関連している。あらゆる頭蓋骨が侵されるかもしれないが、矢状縫合が最も影響を受け易い。顔面骨が侵されると、通常は奇形という結果になる。これは、クルーゾン病で見られる。左右非対称の頭蓋を持った全ての新生児において、頭蓋縫合の早期癒合症を考慮するべきである。通常、触診では、大泉門は明らかに小さくて、盛り上がった癒合を持ったものと感じられる。頭蓋骨を自由に動かすのは不可能かもしれない。頭蓋縫合は、早期癒合症では異常な頭部の成長が生じる。矢状縫合が影響されると、頭部はしばしば舟状頭蓋を呈する。この状態が疑われる際には、レントゲン写真での検査によって骨癒合症が確定されるだろう。メディカルの治療は、癒合した骨の神経外科的な開放である。頭蓋癆(ピンポン玉のような頭蓋)という言葉は、頭蓋骨が柔らかくなった事を示唆するもので、圧を加えた頭蓋部分は押し返してくる前にちょっとしたちょっとの間窪んでいる。母指で両頭頂骨を軽く圧迫すると、僅かな窪みと反発が生じる。稀には骨形成不全症や先天性低リン血症が原因となるかもしれない。新生児をどちら向きかの側臥位にした際に、頭蓋骨の扁平化や歪みの結果生じる頑固な横向きは、しばしば斜頸と合併する。これは、しばしばカイロプラクティック・オフィスで観察され、生体力学的な立場から取り扱うべきものである。徒手による頸椎の牽引は、治療の価値ある部分として考慮するべきである。児は、横になった、自動車シートに坐った、抱かれた、あるいは授乳といった身体を伸ばしたあらゆる状態では、左右非対称でバランスをとっているのを認識する事の重要性を両親にアドヴァイスするべきである。

 

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