小児のカイロプラクティックより(新生児の病歴)

2019/03/31

新生児の病歴
 病歴には大きな価値がある。妊娠歴と出産歴に固有の全ての情報を得るという権能は、新生児のカイロプラクティック治療を行おうと努める全てのカイロプラクティック職務に元々から存在するものである。典型的な成人の病歴を粗雑に修正する事は、どう考えても不適切である。
 子供と親の名前、住所、電話番号、性別、出生日、出生地、そして付随的なものに関する情報について伝統的な形式を整える事に伴って、以下の詳細を得る事は絶対に重要である。新生児の身体的な発育の判定と健康であるか否かの評価を補助するために、出生日と今現在の月齢、出生時と今現在の体重、出生時と今現在の身長に関する情報を入手する。児に外傷をもたらす可能性のある機械装置について知っておくために、出産の種類、経腟出産か帝王切開か、そして鉗子分娩や吸引分娩が行われたかを明らかにする。この識別で重要なものは出生時の胎位であり、骨盤位なのか、あるいは横位だったのかという事である。鎮静剤や麻酔薬を用いたのならば、その種類を記録するべきである。しばしば出産場所に関して問いただす事は非常に大きな利益となる、助産所や自宅などというように、出産場所からより自然な出産指針(birthingg philosophy ) が見て取れるのならば、その結果としての産科的介入の傾向やそれに続く分娩外傷は大きく減少する。
 遭遇したあらゆる問題についての議論を含んだ妊娠に関する詳細な事実は、情報の統合を容易にするために、3ヶ月ごとに分類されるだろう。妊娠の持続期間に関する質問のように、妊娠の全期間中のあらゆる時点における胎児の成長と母体の全体的な体重増加、母体の栄養、運動、有害となる可能性のある物質の摂取あるいは被爆、超音波や羊水穿刺のような診断テクニックの利用、母親の経産回数(出産経歴)や妊娠回数、そして胎児や母体の傷害や危難について全て知る事が、この時点での重要事項である。RH型の血液型決定、あるいは血清検査、骨盤計測、医薬品や放射線学上の操作を受けた事があるのならば、これらについて詳述させて記録するべきである。中毒症、妊娠糖尿病、血圧上昇、出血、吐き気、栄養失調(不良)、感染症の経過については、より徹底的に問いただしておくべきで、そうする事で、全体としての妊娠に関する本質的な認識が促進される。
 妊娠に関して根本的に理解した後で、それに対応した詳細に関して分娩と出産を再考するべきである。分娩の3段階の全体的な長さよりも重要な事は、個々の分娩の進行を正しく理解する事である。(子宮収縮と膜の破裂によって)陣痛の始まった状況、第一段階中に完全子宮頸部開大と展退へと向かっての進行状況、移行期と第二段階の症状に関連したもの、そして胎位や先進部について全てを聞き出すことが重要である。特に胎児や母体危機の合併症や懸念事項、もし行われたとすれば、どんな産科操作や処置が行われたのか、出生時の児の状態、蘇生の必要性、呼吸と産声の開始、胎盤の娩出、出産経過の一般的な管理については、全て特別な説明が必要な価値ある質問である。
 アプガー・スコアを再検討するべきである。両親が実際の点数を知らない場合には、児がどれくらい早く自身で呼吸し始めたか、どれくらい早く"身体が桃色になったか"、出産経過の直後に何らかの緊急新生児検査や操作が行われたか否か、乳房を"口に含む"、そして吸引反射を開始した時期、その他は、アプガー判定に関して手掛かりを与えてくれるだろう。出生時の黄疸やチアノーゼのどちらかの存在に関する質問は、児の生理学的な機能を決定する助けになるだろう。
 身体検査に進む前に、先天的な異常や欠陥について全て知っておくように考慮するべきである。これには、何らかの感染状態、神経学的問題、整形外科的な状態、心臓血管障害、消化問題、腎機能障害、免疫機能問題の存在、それらについての疑いや確定が含まれる。新生児は、彼あるいは彼女の利益のために意思疎通する事がができないので、両親、保護者、看護人から膨大な情報を引き出す価値は計り知れない。
 新生児への授乳が母乳か哺乳瓶によるものかどうかは、神経学的な機能が損なわれていない確率を明確にするためのカイロプラクティック検査に関連している。またこの事に関する知識は、脊柱の生体力学的な能力についての情報も正確に与えてくれる。母乳による新生児への授乳の生理機能は左右均等なので、左右を等しく替える事になるが、哺乳瓶保育の新生児の脊柱サブラクセーション複合体の可能性については、大いに懸念されている。これは、子供の世話をする人によるもので、彼らは、片側優勢の授乳パターンへと陥りがちで、故意ではないが、生理学的に脊柱傷害の骨格状態にしてしまう傾向があるだろう。勿論、栄養学的な熟慮もまた新生児の授乳に関する全ての議論において重要である。調合乳に対する何らかの大きな変化やアレルギーについては、記録するべきである。外観、頻度、何らかの心配事含んだ新生児の便通と排尿習慣についての記録も役に立つ。小さな児は頻繁に排尿する、新生児の正常な排尿量の基準は1~3ml/ kg / 1時間 である。正常な新生児の腎臓は濃縮能力が低い、これは新生児が24時間に12~14 回の頻度で排尿できる事を意味している。1日に2~4回、あるいはそれ以上の便通は、児のためには健康的な事と考えられている。母乳保育児の便の特徴は、暗黄色、非常に緩く、凝乳状である。部分的にあるいは完全に哺乳瓶保育の児の場合には、より暗い色で、非常に強い臭気を持った硬い便である。
 一晩に眠る時間の合計よりも重要な事は眠りの質である。これは、両親や保護者が評価するべきで、良(good)、可(fair)、不可(poor)に分けられる。児が母乳を授乳されるのと同じだけの時間を起きている事は、慣例上、そして生理学的に正常であるという事を記憶しておく。最近、市場で売られている調合乳には新生児に対して鎮静効果がある。この効果は、母乳保育の児には見られない、調合乳で保育されている児の睡眠パターンは、ある程度惑わされているのは明白である。いわゆる正常な睡眠パターンを確立する事は、通常は子供が4~6歳になるまでは完成されない複合行為である。新生児、特に1歳以下の年齢の児が"夜の間中寝ている"のを期待するのは非現実的である。
 一番最近のメディカル受診日とその目的と同様に、小児科医、家庭医、産科医、助産婦の名前と住所を入手するべきである。既に行われた身体検査の特性に関する特殊な質問とともに、標準的な小児科受診の予定に関する質問は重要である。これは、股関節の評価や神経学的な判定といったカイロプラクターによる全ての詳細な追加検査法の決定を容易にするだろう。標準的かつ最近に受けた産科医の検査法に関する情報は、解明のため、あるいは必要ならば、遂行のためには必須である。新生児が緊急を基礎とした治療を受けた事があるのならば、この時点で、この事について詳しく述べられるべきである。免疫に関する既往歴や保健師訪問については、関わっていれば記録するべきである。
 新生児の月齢における発育歴が重要であるのならば、この際には、これも入手した方が良い。これには音に反応する、物を目で追う、自力で頭部を持ち上げる。一人で坐る、這い這いする、立つ、伝え歩きをする(直立位で動く間に家具の一部に掴まっている)補助なしで歩く事に関する週齢( age weeks )が含まれる。
 それに対応して、新生児が何らかの主観的、あるいは客観的な不調を経験した事があるかどうかを両親が言明できるものである病歴の書類の一節がなければならない。これらの不調や徴候は、基本的な産科の病歴聴取手順から得られる、以下のように要約する事ができる:
 1.乳を飲む事ができない
 2.あまり乳を飲まない
 3.吐き戻す
 4.鼻詰まりや鼻水
 5.胸部鬱血( chest congestion )や咳
 6.喘ぐ、息が詰まる、喘鳴
 7.耳痛
 8.あまりよく眠らない
 9.泣き止まない
 10.四肢を動かせない、動かそうとしない
 11.消化問題
 12.嘔吐
 13.便秘
 14.下痢
 15.体重が増えない
 16.疝痛(腹痛)
 17.皮膚の反応を含んだアレルギー
 18.ヘルニア/脱腸
 19.心臓問題
 20.呼吸問題
 21.整形外科問題
 22.神経学的な問題
 23.痙攣(ひきつけ)
 24.麻痺
 25.骨破壊
 26.腎機能障害
 27.皮膚問題/発疹
 28.免疫反応

 もし今病気があるのならば、病歴調査のために確立された規約に従って、それに関する詳細な議論を行う事は、大いに認められるべきである。
 社会経済的な地位に関する幾つかの決定は、新生児の健康の判定において有益である。小児虐待、放置、あるいは両親や保護者の側の精神的な処理の不能に関するあらゆる徴候に警戒する。第一次健康管理実践者としての責任によって、推奨される指針、調査のための方法、虐待状況が考えられるという指示にカイロプラクターが従う事が委任されている。
 最終的には、外科手術に関するあらゆる履歴、医薬品、医薬品に対するアレルギー、事故、外傷性障害、家族歴を詳しく調べるべきである。
 何らかの小児科検査や治療法を処方する前に、未成年者の管理のために署名された委任状(即ちインフォームド・コンセント)には、両親あるいは法律に基づく保護者によってのみ現認と日付が記されなければならない。どのような状況にあっても、この必要条件を無視するような法的権限は北米では存在しない。

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