• トップ
  • 院長ブログ
  • 小児のカイロプラクティックより(分娩の第一、第二段階の正常なメカニズム)

小児のカイロプラクティックより(分娩の第一、第二段階の正常なメカニズム)

2019/03/28

分娩の第一、第二段階の正常なメカニズム
 新生児が娩出される段階では、児がその経過に適合して母親の骨盤と産道をうまく通過する事が必要とされる。
 産科学上、分娩のメカニズムをがいりゃくする6つの動きが述べられている。これらには下降、屈曲、内方への回転、伸展、外回旋(第4回旋)、そして外方への回転が含まれる。分娩の解剖学的、生理学的な進行については、曲がりくねったものとして描写されている、そして疑いも無く複雑なものなのだろう。本書では、正常な状態にある胎児について詳述する。
 初産婦では、重要な意味を持つ下降が陣痛の前に起きる。下降は、進入機序を受け入れる事と定義される、不均衡を示すものが無いのならば、下降は進入機序の活動的な経過中に進行するはずである。一度に多くの児を産む女性では、下降は陣痛中に始まる事が多い。下降の進行は、分娩の第二段階の際の子宮収縮による下方への圧力と患者の押し出す努力によって促進される。
 児頭の屈曲は、一般に陣痛前に行われる。部分的な屈曲は、子宮内での最も自然な胎児の運動として観察される。増大した児頭の屈曲は、骨;関節としての骨盤構造(osseous and articular pelvic structures)と骨盤関節における下降に対する抵抗によって引き起こされる。正常ならば、後頭骨は前頭部より先に下降していく、小泉門は眉間の下方にあり、胎児の顎は胸部に近づく。通常、この段階は、骨盤入口で起きるが、先進部が骨盤底に接触するまで解消されないかもしれない。
 後頭骨が肛門挙筋と筋膜の骨盤底に到達する時には、後頭骨は中心線に向けて45° 回転する。右後頭骨前方位(ROA:right occiput  anteriority?)から後頭骨前方位(OA:occiput anteriority?)へ、あるいは左後頭骨前方位(LOA)から後頭骨前方位(OA)へと、児頭の矢状縫合は、骨盤を斜めに横切る事から前後へ横切る方向に回転する。後頭骨は恥骨結合に近づき、前頭部は仙骨に近づくようになる。頭部(の矢状縫合)が母体の骨盤の前後を横切る方向に回転する時に、胎児の両肩は(骨盤を)斜めに横切ったままである。それ故、頭部の長軸と両肩の長軸との一般的な関係は変化し、頸部は45° 回転させられる。この状態は、児頭が骨盤( bony pelvic )の中に留まっている限り継続する。
 内旋プロセスの病因学は、現実には骨と軟部組織である。坐骨棘は、骨盤腔の中に向けて内方へと(円朝するように)移動する。坐骨棘の前方の骨盤の外縁は、前方、下方、内方へと曲線を描くように移動する。肛門挙筋とそれに関連する筋膜から成る骨盤底は、内側へ向けて、前方、内方へと傾く。骨盤底と坐骨棘に最初に到達する児頭部位は、これらの構造によって、前方へと回転させられる。頭部が骨盤底に到達する時に、十分に屈曲すれば、後頭骨が最初に骨盤底に接触し、恥骨結合の下で前方へと回転させられる。同様に分娩の際の内方への回転のための正確なメカニズムは、殆ど解剖学的な推測である。通常、この段階は、児頭が骨盤底に到達する時に完成し、即座に次へと続いていく。内旋は、主に分娩の第二段階で起きる。
 伸展は、2つの力の結果として見なされるかもしれない。この時に子宮収縮が容赦なく下方への圧力を働かせ、骨盤底は相当に抵抗性を示す。仙骨が位置している後壁は恥骨結合の前壁よりもずっと長いので、前頭部が進行するためには後頭骨よりも終始大きな距離を移動する。各々の子宮収縮に伴って、収縮の間に子宮が弛緩する時に、頭部が進み、それから引っ込む。その度ごとに僅かな前進が得られる。入口は前後方向に、次に卵円形に開き、最終的には円形に開口する。児頭への圧力は、会陰を一杯まで薄くする。母親の直腸から便が押し出されるかもしれない、肛門は広がり、直腸前壁は全て膨張する。児頭が下降し続ける事によって、後頭骨は、恥骨結合の下へと入り込む。屈曲した児頭が下方への移動を続行する時に、会陰は発露の直前に膨張する。後頭骨は骨盤出口を通って進行し、子宮頸部の彎曲は恥骨下角を中心に回転する。この時点で、前頭部は、急速な頭部伸展の進行によって、仙骨に沿って移動する。最終的には強い収縮によって、頭部の最長径部分(通常は頭頂部 ) が外陰部を通って押し出される。この段階は、発露と呼ばれている。一度これが起きると、後退する事はなくなる。伸展の進行の継続によって前頭部、鼻、口、唇、顎が会陰から出現してくる。児頭が入口を通過する段階では、患者は引き裂かれるような感覚を持つ。時には外陰部の裂傷が生じる。裂傷を避けるために、この時点で母親は休息をとって、会陰部の粘弾性のズレ(viscoelastic creep perineum)を可能とするべきである。マッサージは会陰部をストレッチするのに役立つ。
 児頭が骨盤底に到達する時に、両肩は骨盤に進入する。頭部が前方へと回転する一方で、両肩は斜めになったままなので、頸部が捻られるようになる。児頭の娩出後、頭部は肛門に向けて落下する。一度膣から出ると、頸部が捻れないように頭部が45° 戻って元の状態になる。両肩と頭部の正常な関係が達成される。
 頭部娩出後の少しの間、両肩が骨盤を斜めに横切る事から前後へ横切る方向へと内方に回転するので、(頭部の?)外方への回転が生じる。一般的に両肩が娩出されると、新生児の身体の残りの部分が急速に出現してくる。(中略)この段階で、児の完全な娩出が達成される。
 

PAGE TOP