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PAACニュース185号:妊娠中、非妊娠中の女性の骨盤底の機能的変化における脊椎マニピュレーションの影響:予備的研究

2018/11/28

              Heid Haavik,BSc (chiro),PhDip (science),PhD、Bernadette A.Murphy,DC,MSc,PhD
                                 Jennifer Kruger,BSc (Nursing),MSc,PhD 著

                                               訳:栗原輝久

序論
目的:今回の研究の目的は、妊婦への1回の脊椎マニピュレーションによって、超音波画像を使って測定される骨盤底機能を変化させる事ができるのか否かを調査するというものである。
方法:今回の予備的で、将来を見据えた、比較対象研究では、産科介護士(obsteric caregiver:助産婦?)や妊婦体操教室の掲示板と口コミによって募集した妊娠中期の11人の初産婦、ニュージーランド・カイロプラクティック大学(New Zealand College of Chiropractic)の便宜的標本から募集した15人の未経産の女性について、経会陰部超音波画像を使って、骨盤底の解剖学と機能を評価した。全ての参加者について、排尿後に仰臥位にして、3-/4-次元の経会陰部超音波画像撮影を行った。脊椎マニピュレーションや対照としての治療介入の前後に、安静時、骨盤底筋の最大収縮時、そして最大ヴァルサルヴァ法の際の挙筋裂孔エリアの測定結果を収集した。
結果:妊婦では、脊椎マニピュレーションによって休息状態での挙筋裂孔エリアは有意に(P<.05)拡張したが、休息状態での非妊娠女性では、マニピュレーション後の変化は見られなかった。あるいは測定された他のパラメーターについても変化は見られなかった。
結論:妊娠中期の妊婦への脊椎マニピュレーションは、安静時に挙睾筋エリアを拡張させ、それ故に骨盤底筋群を弛緩させるように思われる。非妊娠の対照群の患者では、これが見られなかったが、これは妊娠と関連しているだろうという事を示唆している。(J Manipulative Physiol Ther 2016;39:339-347)
検索キーワード:カイロプラクティック;マニピュレーション;脊椎マニピュレーション;骨盤底障害;妊娠;超音波検査法

     
     図1.1人の妊娠参加者の典型的な経会陰部超音波画像。a.正中矢状面の最少面積面として確認
     されるものを示している。b.点線は、脊椎マニピュレーション前の裂孔エリアの測定を示して
     いる。c.脊椎マニピュレーション後の裂孔エリアの測定を示している。基準時と比べると、マニ
     ピュレーション後の安静時の挙筋裂孔エリアが拡張している事に注目せよ。(図のカラー・
     ヴァージョンはオンラインで入手可)

     
    図3.非妊娠状態の1人のカイロプラクティック学生の経会陰部超音波画像。a.斜線は、正中矢状面
    の最少面積面を示している。b.点線は、随意ヴァルサルヴァ法中の裂孔エリアの測定を示している。
    c.随意ヴァルサルヴァ法中のエリア測定のボリューム画像。非妊娠状態の対照群参加者のヴァルサ
    ルヴァ中の通常ではない大きな挙筋裂孔エリアに注目せよ。(カラー・ヴァージョンはオンラインで
    入手可)。

   実際の適用
   ●今回の研究では、経陰唇の3D超音波検査によって測定される挙筋裂孔エリアの拡張に反映されているよう
    に、妊娠第2期の妊婦への脊椎マニピュレーションが安静時の骨盤底筋群を弛緩させるようだという事が明ら
    かになった。
   ●非妊娠の対照群では、マニピュレーション後の変化は生じなかったので、妊娠グループで見られた変化は妊娠    
    に限定されたものなのだろう。
   ●脊椎マニピュレーションによって見られた肛門挙筋のこの弛緩は、この事が妊婦に自然に生じない時には、脊
    椎マニピュレーションが妊婦の骨盤底筋群の弛緩を助ける事で、彼女たちの経腟分娩に有益なものとなるだろ
    うという事を示唆している。

  (以下省略)

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