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PAACニュース185号:疼痛の存在下での脊椎マニピュレーションに対する神経筋反応

2018/11/28

         Stuart J.Currie,DC、Casey A.Myers,MS、Catherine Durso,PhD、Brian A.Eneba,DC,PhD
             Bradley S.Davidson,PhD 著

                                             訳:栗原輝久


序論
目的:今回の研究の目的は、腰椎の側臥位のディバーシファイド脊椎マニピュレーションの際の筋活動の違いについて、腰痛のある参加者と腰痛の無い参加者の間で評価するというものである。
方法:20人の無症状の参加者と20人の腰痛のある参加者について、腰椎の側臥位マニピュレーションの際の8箇所の筋部位での表面と内在の筋電図の記録を録った。2つの疼痛グループについて、混合線形回帰を使って、マニピュレーションによる刺激(インパルス:神経線維の活動電位)と関連した筋反応の数と筋活動の開始の遅延を比較した。コーヘン dを使って、全ての比較に関するエフェクト・サイズを計算した。
結果:無症状グループでは、筋電図部位の61.6%±23.6%に、症候性グループでは筋電図部位の52.8%±26.3%に筋反応が生じた。この違いは、統計的に有意では無かったが、疼痛の小さな影響が見られた(d=0.350)。症候性グループについては、右側に内在するL5電極を除いたそれぞれの筋電図部位で、筋活動開始の遅延が大きく、疼痛の小さな影響がL2の左、腰方形筋、僧帽筋の表面で見られた。それぞれ(d=0.311、0.273、0.265)。内在電極では、表面電極より短時間の遅延(P≦.01)が実証された。
結論:この結果から、マニピュレーション刺激の後には、腰痛のある参加者にはより小さな筋反応が見られ、その筋反応が見られる時には、筋活動開始のより長時間の遅延を伴って生じるという事を示唆する傾向が明らかになった。(J Manipulatiive Physiol Ther 2016;39:288-293)
検索キーワード:マニピュレーション;脊椎;腰痛;カイロプラクティック;反射;筋電図;生体力学的現象;動力学


     
     図1.A:側臥位のセット・アップ。B:器具には内在(三角形)と表面(円形)の筋電図が含まれ
     ていた。星印は、左側のL3と仙腸関節の脊椎レベルのマニピュレーション部位を示している。

  実際の適用
  ●腰椎マニピュレーションの際の筋反応や筋活動開始の遅延の数によって評価された脊椎マニピュレーションに対
   する神経筋反応を測定した。
  ●無症状の参加者と腰痛に苦しんでいる参加者との間で比較を行った。  
  ●表面電極と比較すると、内在電極によって、非常に多くの筋反応と筋活動開始の遅延が実証された。
  ●筋反応の数と筋活動開始の遅延における疼痛の小さな影響が見られた。
  ●今回の結果は、腰痛のある参加者により少ない筋反応が見られる傾向があり、筋反応が存在する時には、マニ
   ピュレーション刺激後の筋活動開始のより長時間の遅延と共に筋反応が生じるという事を明らかにした。

  (以下省略)

 

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