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PAACニュース184号:心的回転課題を行う能力における潜在的頸部痛の影響:健康な対照群との比較による4週間の長期研究

2018/11/27

  Julianne K.Baarbe,MHSc、Michael WW.R.Holmes,PhD、Heather E.Murphy,BHSc、Held Haavik,BSc,PhD
  Bemadette A.Murphy,DC,PhD 著
 
                                               訳:栗原輝久

要約
目的:心的回転の目的とこれらの目的の基準枠は、正しい熟練した動きを行うために重要であり、物体認識、脊椎指示(spinal navigation)、運動計画のために重要である。今回の長期研究の目的は、基準時と4週間後に、潜在的頸部痛(sub-clinical  neck pain:SCNP)がある参加者と健康な対照群とを比較するというものだった。
方法:大学性集団から、26人のボランティア(13人が SCNP 、12人が健康な対照群)を募集した。潜在的頸部痛のある参加者は、慢性痛評価尺度(Chronic Pain Grade Scale)において軽度から中程度の疼痛があったが、対照群には最少の疼痛、あるいは無痛だった。心的回転課題については、コンピュータ画面を使って、ある物("R"という文字)を参加者に提示したが、裏返しではない状態で、あるいは様々な配置(0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°回転させて)で提示した。参加者は、通常の状態の場合には"N"を、裏返しの場合には"B"のキーを押す事で、その文字の状態を示した。通常や裏返しの状態の文字を5回表示し、基準時と4週間後に、全ての参加者について、全ての文字に対する平均反応時間を計算した。
結果:基準時から4週間後には、両方のグループとも反応時間に改善が見られた。基準時(P<.05)と4週間後(P<.05)の両方において、潜在的頸部痛(SCNP)参加者と比較すると、健康な参加者には大きな改善が見られた。
結論:両方の時点で、健康な参加者は、SCNP参加者よりも上手く課題を行った。潜在的頸部痛が恐らく身体図式を変化させて、小脳接続と関連した複雑な心的回転課題を行う能力を妨げたのだろう。(J Manipulative Physiol Ther 2016;39:23-30)
検索キーワード:小脳;成人;身体図式;人類;神経心理検査;空間知覚;視覚;精神機能

        
        図1.正常配置と鏡面像配置の両方の様々な配向角での"R"の文字。
        (カラー・ヴァージョンはオンラインで入手可)

    実際の適用
    ●心的回転能力は、健康対照群と比較すると潜在的頸部痛グループで混乱させられる、そして治療的介入無し
     で、4週後に再測定した時でさえ、一層悪いままである。
    ●単純反応時間に違いは見られないが、これは、この違いが運動時間における違いによるものでは無いという
     事を示唆している。
    ●研究集団が今回の研究に参加した日には非常に僅かな症状しかなかったので、この障害は、疼痛それ自体の
     存在によるものでは無いようである。

    (以下省略)

    

  

 

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