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PAACニュース184号:慢性腰痛のある参加者におけるバイオフィードバック訓練による神経力学的反応:実験的コホート研究

2018/11/27

             Isabelle Page,DC,MSc、Andree-Anne Marchand,DC,MSc、Francois Nougarou,PhD
             Julie O'Shaughnessy,dc,MSc、Martin Descarreaux,DC,PhD 著

                                              訳:栗原輝久

要約
目的:今回の研究の目的は、慢性腰痛のある参加者について、4回のバイオフィードバック訓練による神経力学的反応と臨床転帰を評価するというものである。
方法:21人の参加者は、体幹の最大屈曲中の腰部の傍脊柱筋群活動を減少させる事を目的とした筋電図検査による4回のバイオフィードバック訓練プログラムに参加した。このセッションは、5つのブロックに分けられる46回までの体幹屈曲-伸展から成っていた。腰椎屈曲ー伸展率と腰仙部可動域におけるトレーニング・ブロックとセッションの効果を評価した。(Oswestryの身体障害指数による)疼痛強度、(Tampa Scale for kienesiophobia:運動恐怖症に関するTampa尺度による)動く事への恐怖についても評価した。
結果:分散の分析によって、セッションの1と2の際の屈曲ー弛緩とブロック1と他のブロックの間の腰椎可動域における割合の増加が観察された有意なブロック効果(P<.0001)が明らかとなった。しかしセッションや相互作用の有意な効果は観察されなかった。臨床転帰に関しては、基準時(平均[標準偏差];33.05[7.18])と4回目のセッション(29.80[9.88])との間では、動く事への恐怖のみが有意に減少した(P=.02)。臨床転帰と神経力学的可変性との間には有意な相関関係は見られなかった。
結論:慢性的で非特異的な腰痛のある参加者については、バイオフィードバック訓練によって、体幹の最大屈曲における腰部傍脊柱筋活動の減少と腰仙部の可動域の増大へと至った。神経力学的変化は、プログラムの初期段階で主に観察されたが、動く事への恐怖の減少から、恐怖回避行動によって、参加者の最初の可動域制限が調節されたのだろうという事が示唆された。
検索キーワード:バイオフィードバック;腰痛;リハビリテーション;筋電図;ストレス;力学の

                
    図1.屈曲-伸展課題中の立位と最大屈曲位。10秒かけて4段階に分かれた屈曲ー伸展を
    行うように参加者に指示した(カラー・ヴァージョンはオンラインで入手可)

  実際の適用
  ●慢性痛状態のためのリハビリテーション法の効果的な部分として、バイオフィードバック訓練は推奨され、認識
   されている。
  ●今回の研究は、慢性腰痛の参加者について、バイオフィードバック訓練による神経力学的反応や臨床転帰の変化
   を評価する事を目的としていた。
  ●バイオフィードバック訓練の最初の2回目のセッションの際の神経力学的変化の改善を明らかにしたが、その効
   果は、最後のセッションには持ち越されなかった。
  ●動く事への恐怖の減少は、観察された最初の神経力学的変化が恐怖回避行動によって調節されていたのだろうと
   いう事を示唆している
 

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