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PAACニュース183号:素早く振幅の小さな頸椎マニピュレーション中の内頸動脈の緊張

2018/11/25

                       Walter Herzong,PhD、Conrad Tang,DC、Tim Leonard,PhD 著

                                              訳:栗原輝久

要約
目的:今回の研究の目的は、頸椎マニピュレーション治療中と頭頸部の可動域(ROM)と診断の検査中に内頸動脈(internal carotid artery:ICA)へ加えられる緊張を定量化するというものである。
方法:ソノミクロメーターを使って、6体の新鮮で防腐処理していない屍体検体の(12本の)内頸動脈の緊張を測定した。熟練したカイロプラクティック・ドクターによって行われた頸椎マニピュレーション中に得られた内頸動脈の最大と平均的な緊張を、頭頸部の可動域と診断の検査中に得られた内頸動脈の緊張と比較した。
結果:頸椎マニピュレーションの治療に関する最大と平均的な内頸動脈の緊張は、可動域と診断の検査について得られた内頸動脈の緊張よりも有意に小さかった(P<.001)。可動域と治療の検査中の全ての緊張は、内頸動脈に破損が生じ始める緊張よりも著しく小さかった。
結論:今回の研究によって、頸椎マニピュレーション治療によって付与される内頸動脈の最大緊張は、はっきりと正常な可動域範囲内である事が明らかになった。頸椎マニピュレーションでは、毎日の正常な動きの中で経験する内頸動脈の緊張を越えるようなものは生じなかった。それ故、今回の研究で訓練された行ったような頸椎マニピュレーション治療は、内頸動脈に過度の緊張を与えないだろう、従って内頸動脈損傷の要因にはならないだろうと思われた。(J Manipulative Physiol Ther 2015;38:664-671)
検索キーワード:脳卒中;マニピュレーション;頸椎;内頸動脈損傷;安全性;カイロプラクティック

     
  図2.内頸動脈の長さと緊張に関する幾つかの重要な測定のための頭頸部の配置に関する図解。Aは、
  頭頸部の中立位を表している、Bは、頭頸部を他動運動の限界までの回旋を表している。
  Cは、ディバーシファイドの側屈/回旋頸椎マニピュレーションを行う直前の頭頸部の配置を表している。
  頭頸部が正確に配置されているが、ドクターはそうではない(特にCでは、普通、ドクターは上体を
  移動させて、胸部を被検者に接近させるのだが、被検者の頭頸部がよく見えるようにするために、こ
  の事は、此処では再現されていない)。(カラー・ヴァージョンはオンラインで入手可)

            
            図3.内頸動脈へのソノミクロメーターの水晶圧電素子の配置。
            external carotid artery:外頸動脈
            sonomicrometry crystals:ソノミクロメーターの水晶圧電素子
            internal carotid artery:内頸動脈
            vertebral artery:椎骨動脈

  実際の適用
  ●今回の研究の結果から、カイロプラクティック頸椎マニピュレーションは、内頸動脈に過度のストレスや緊張を
   課す事は無いという強力な証拠が得られた。
  ●素早く振幅の小さな頸椎SMT(spinal manipulative treatment)を行っているドクターや頸椎マニピュレー
   ションの危険性や受容性に関する問題を取り扱っている専門的職業にとっては、これらの所見は適切なものであ
   る。

  (以下省略)



 

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