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PAACニュース177号:椎間孔の形態学的な違い:無症候の男性の頸椎姿勢に関する放射線学的検査

2018/11/18

                               Tomonori Sato,PhD、Kenji Masui,PT 著                                          

                                           訳:栗原輝久

要約
目的:今回の研究の目的は、以下の肢位での頸椎椎間孔(intervertebral foramina:IVF)の単純レントゲン像を使って、形態学的な違いを調査するというものである:右方への側屈と左方への回旋を伴った屈曲位(FLFR-RL);右方への側屈と右方への回旋を伴った屈曲位(FLFR-RR)がそれである。
方法:今回の研究では、頸部痛の病歴の無い15人の参加者(22~29歳の男性)の参加を採用した。参加者を立位にして、頸椎を中立位、そして右方への側屈と左方への回旋を伴った屈曲位(FLFR-RL)、更に右方への側屈と右方への回旋を伴った前屈位(FLFR-RR)にして、レントゲン像を撮った。放射線専門医がC5/C6とC6/C7のレントゲンでの椎間孔の高さと幅を測定した。肢位の間の椎間孔の大きさの違いを分析した。
結果:FLFR-RLという肢位(反対側への回旋と側屈を伴った屈曲)によって、中立位の時と比較すると、C5/C6での椎間孔の高さが2.40mm(24%;P<.01)まで、C6/C7では2.64mm(26%;P<.01)まで増大した。しかし椎間孔の幅については、FLFR-RLとFLFR-RRの間には、中立位と比較した際の有意な増大は見られなかったし、FLFR-RLとFLFR-RRの間には、椎間孔の高さと幅についての有意な違いは見られなった。
結論:今回の研究結果から、頸椎のFLFR-RLとFLFR-RRの肢位によって、レントゲン像において測定した場合の頸椎の椎間孔の高さが増大する事が実証された。(J Manipulative Physiol Ther 2013;36:327-332)
検索キーワード:頸椎:脊椎神経根障害:姿勢

  
  図1.椎間孔の高さ(H)と幅(W)を測定する方法を示し
  たレントゲン像。

  
  図2.姿勢を変える揺動(A)とそうでない揺動(B)の際のC5/6での椎間孔がみられるレントゲン像。
  頸椎の姿勢を変える揺動の際に椎間関節でのより大きな分離(矢印)が明らかになっている。

 実用的応用
 ●患側から遠ざかる方向への側屈と患側へと向けた回旋を伴った頸椎屈曲位によって、レントゲン像で測定した椎間
  孔の高さが増大した。
 ●今回の研究は、頸椎の組み合わされた肢位の機械的影響をレントゲン像で発見した初めてのものである。

 (以下省略)

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