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PAACニュース176号:腰痛患者への脊椎マニピュレーションとサイド・ポスチャー(側臥位)への配置の際のMRI画像における関節突起間関節の変化(間隙形成)

2018/11/17

                 無作為化比較メカニズム試験

  Gregory D.Cramer,DC,PhD、Jemilyn Cambrom,DC,MPH,PhD、Joe A.Cantu,DC、
  Jennifer M.Dexheimer,LMT,BS、Juddith D.Pocius,MS、Douglas Gregerson,DC、Michael Fergus,DC、Ray   
  McKinnis,PhD、Thomas J.Grieve,DC,MPH 著

                                              訳:栗原輝久

要約
目的:今回の研究の目的は、腰痛(low back pain:LBP)患者において、脊椎マニピュレーション療法(spinal manipulation therapy:SMT)や側臥位配置(side-posture positioning:SPP)後の腰椎の関節突起間(zygapophyseal:Z)関節スペースの分離(間隙形成)を定量化する事である。
方法:この論文は、無作為化と盲目化を伴った比較対照メカニズムの試験である。急性腰痛の被検者(112人:1グループ28人の核磁気共鳴画像[MRI]プロトコル(手順)を受けた4つのグループ)は、2回目の核磁気共鳴画像の予約を入れた(初回の登録と2週間のカイロプラクティック治療の際に、L4/L5とL5/S1の関節突起間関節の核磁気共鳴画像スキャンをそれぞれ2回受けた)。各々の予約の際の最初の核磁気共鳴画像スキャンの後で、被検者を無作為化(最初の登録の予約)、あるいは(カイロプラクティック治療の予約の2週間後に)SPP(nonmanipulation:マニピュレーション無し)、対照群の核磁気共鳴画像プロトコル群に割り当てた。SPPやSMTへの割り当ての後に、2回目の核磁気共鳴画像撮影を行った。そして中心部の前後方向の関節腔を測定した。施術前と施術後に行われた疼痛側の前後方向の測定値の違いは、関節突起間関節(zygapophyseal joint:Zjoint)の"間隙形成の違い"である。プロトコル群の中で、間隙形成の違いを比較した(ばらつきの分析)。疼痛(視覚的アナログ尺度、口頭による数値式疼痛評価尺度)と機能(Bournemouthの質問表)に関する二次分析を評価した。
結果:初回(矯正群、P=.009;SPP、0.66±0.48;SMT、0.23±0.86;対照群、0.18±0.71)と2回目(矯正群、P=.0005;SPP、0.65±0.92;SMT、0.89±0.71;対照群、0.35±0.32)のMRI予約の時の間隙形成の違いは大きかった。SMTを伴ったMRI予約時の口頭による数値式疼痛評定尺度の違いは大きかったが、これは最大の改善を示していた。2週間の施術後では、全てのグループで、視覚的アナログ尺度とBournemouthの質問表での改善が見られた(両方でP<.0001)。
結論:基準時では、側臥位姿勢で大きな間隙形成が見られた。2週間のSMTの結果として、最大の間隙形成が見られた。側臥位姿勢には、SMTに対する更なる治療上の有用性があるようである。(J Manipulative Physiol Ther 2013;36:203-217)
検索キーワード:マニピュレーション:脊柱:関節突起間関節:カイロプラクティック:腰痛:腰椎

 
 図4.4つの研究プロトコル群の各々に用いられた手順。プロトコルについては、方法の中の "MRIスキャン"
  という小見出しの中に詳述されている。全てのプロトコルは、中立位での MRIスキャン(最上列)から始ま
 っている事を忘れてはならない。それから被験者は、1から4のプロトコル群の1つに無作為に割り当てら
 れ(第2列と第3列)、その後、中立位か側臥位での2回目のスキャンが行われた(第3列)。左側を上に
 して SMTや SPP を受けている被験者が示されているが、この上になった側は、検査予約時に被験者の疼痛
 が最も強い側(most painful side:PTS)だった。そしてこれは右側の方が多かった。

              
               
    図5.L4/L5とL5/S1の左右の Z 関節から形成される中心部での A-P 方向の測定状態が示されている
    図(A)と MRIスキャン(B)。

 臨床的適用
 ●関節突起間関節の間隙形成は、SMTの治療効果(治療による間隙形成)と関連しているという仮説が立てられてい
  る。
 ●健康な被検者におけるこれまでの研究では、SMT を受けたZ関節には、SPP 単独のものよりも大きな間隙形成が見
  られるという事が明らかになった。
 ●急性腰痛の被検者における今回の研究では、基準時のMRI予約時には、SPP にZ 関節の最大の間隙形成が見られ
  た。
 ●標準的なカイロプラクティック治療の2週間後、SMTとそれに続くSPP の結果として、Z関節の最大の間隙形成が
  見られ、その次にSPP単独のものが続いた。
 ●側臥位配置には、疼痛の減少とZ関節の間隙形成に関して、SMTに対して追加的な効果があるように思われた。

   (以下省略)





 

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