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PAACニュース171号:患者の咀嚼筋の筋筋膜トリガー・ポイント、慢性の機械的頸部痛の有無には拘わらずに

2018/11/14

  Ana L.De-la-Liave-Rincon,PT,PhD、Christina Alonso-Blanco,RN,PT,PhD、Antonio Gil-Crujera,PT,PhD
  Silva Ambite-Quesada,PT,PhD、Peter Svensson,DDS,PhD,DrOdon
  Cesar Fernandez-de-las-Penas,PT,PhD 著
           
                                            訳:栗原輝久

要約
目的:今回の研究の目的は、機械的頸部痛患者と健康な対照群の間で、咬筋と側頭筋のトリガー・ポイント(TrPs)の存在と開口に関する違いについて詳述する事である。
方法:20-37歳の口腔顔面領域の症状の無い機械的頸部痛患者の20人の患者(60%が女性)と20人の同等の対照群が参加した。盲目状態の設定で、トリガー・ポイントの存在に関して、側頭筋と咬筋を検査した。よく知られた症状である関連痛を被検者が認めた場合、トリガー・ポイントが活性的であるとしたが、その一方で、疼痛が1つの症状として認められない場合には、トリガー・ポイントは潜在しているとした。開口については、定規を使って評価した。
結果:患者の咀嚼筋では、対照群と比べると、夥しい数(P<.001)のトリガー・ポイントが発見された。患者と対照群の両方で、よく知られている関連痛を認めた者はいなかった。そのために活性的なトリガー・ポイントというよりも潜在的なものが発見された。咬筋(左オッズ比[OR]、3.4;右のオッズ比、8.1;P<。001)と側頭筋(左のオッズ比、2.8;右のオッズ比、5.7;P<.001)については、グループ間でのトリガー・ポイントの分布が異なっていた。対照群と比べると、頸部痛患者には開口制限が見られた(P<.001)。能動性の開港と咀嚼筋内でのトリガー・ポイント(rs=ー0.6;P<,001)の間には、逆相関が見られた。トリガー・ポイントの数が多いほど、開口制限が強かった。
結論:今回の研究の被検者については、機械的な慢性頸部痛患者は、健康な対照群と比べると、咀嚼筋のトリガー・ポイントは潜在的で、開口制限が見られた。これらの所見は、頸椎分節から脳幹の三叉神経感覚核複合体までの増感の展開を示唆している。(J Manipulative Physiol Ther 2012;35:678-684)
検索キーワード:頸部痛:トリガー・ポイント:三叉神経の増感

 実際の適用
 ●今回の研究から、健康な対照群と比べると、機械的な慢性的頸部痛患者の咀嚼筋(咬筋と側頭筋)には両側性の潜
  在的なトリガー・ポイントが存在する事が明らかになった。
 ●また頸部痛患者の開口は、健康な被検者よりも小さかったが、潜在的なトリガー・ポイントの数は、能動性開口と
  は関連していない事も明らかとなった。
 ●我々の研究は、機械的頸部痛は三叉神経の脳幹感覚核の増感と関連しているという意見を支持しているが、これ
  は、この身体部位の症状の展開に関して、臨床的な意義を持っているだろう。

 (以下省略)

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