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PAACニュース167号:筋筋膜系起因の慢性的な肩痛:虚血性圧迫療法を用いた無作為臨床試験

2018/11/07

                  Guy Hains,DC、Martin Descarreaux,DC,PhD、Francois Hains,DC,MSc 著

                                              訳:栗原輝久

概観
目的:今回の臨床試験の目的は、慢性的な肩痛患者の肩のトリガー・ポイントに対する虚血性圧迫を用いた15の筋筋膜療法の効果を評価する事である。
方法:41人の患者は、15回の実験的な治療を受けたが、それらは、棘上筋、棘下筋、三角筋、二頭筋腱のトリガー・ポイントへの虚血性圧迫から成るものだった。18人の患者は、対照治療を受けたが、これは、頸部や上部胸椎領域のトリガー・ポイントへの15回の虚血性圧迫であった。対照群を形成していた18人中の16人は、初回の対照治療を受けた後に15回の実験的な治療を受け続けた。結果判定には、肩痛と機能障害を測定するのに有効な13の質問から成る質問表が含まれていた。患者が感じた改善を評価するためには、0~100%の尺度の第2の質問表を用いた。結果判定の評価は、15回の治療後の基準時、最後の治療から30日後に両方のグループで完了したが、実験群だけは6ヶ月後にも行った。
結果:最初の15回の治療後に、有意なグループ×時間間隔の相互作用が観察された。これは、実験群では、対照群と比較すると、肩痛と身体障害指数(shoulder pain and disability idex:SPADI)の点数に大きな減少が見られたという事を示唆していた(62% vs 18%の改善)。更に15回の治療後に患者が感じた改善も実験群の方が高かった(75% vs 29%)。最終的には、対照群の被検者については、実験群の治療へと移った後に、彼らの SPADI の点数が大きく減少した(55%)。
結論:今回の研究の結果から、肩のトリガー・ポイントへの虚血性圧迫を用いた筋筋膜療法によって、慢性的な肩痛患者の症状が減少するだろうという事が示された。(J Manipulative Physiol Ther 2010;33:362-369)
索引項目:肩痛:筋筋膜痛症候群:筋骨格系マニピュレーション:カイロプラクティック

 
図1.今回の研究で治療したトリガー・ポイント(カナダ・カイロプラクティック協会の機関誌から許可を受けて転載)
Supraspinatus muscle:棘上筋
Deltoid muscle:三角筋
Anterior view of shoulder:肩の前面図
Cravicle:鎖骨
Acromion:肩峰
Corachoid process:烏口突起
Infraspinatus muscle:棘下筋

(以下省略)


 

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