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PAACニュース167号:テンジクネズミの膝関節の固定による脊髄運動ニューロンの退行変性

2018/11/07

                               Xiaohua He,MD、Veronica Dishman,PhD 著

                                              訳:栗原輝久

概観
目的:今回の研究の目的は、成体テンジクネズミの片側の膝関節を固定して、脊髄の運動ニューロンの逆行性の退行変性が膝関節活動の減衰の結果であるとおいう仮説を検証するというものである。
方法:全部で32匹の生体テンジクネズミを使い、膝関節の固定期間に基づいている8つのグループに分けた。脊髄のニューロンを検査するために、ニッスル(Nissl)の光学顕微鏡検査、一酸化窒素合成酵素組織化学法、西洋ワサビ・ペルオキシターゼ、ファスト・ブルーを実行した。ニューロンと軸索を検証するために、電子顕微鏡検査も行った。
結果:様々な期間の膝関節の固定によって、運動ニューロンの退行変性の様々な特徴が観察された。固有の特徴としては、障害を受けた運動ニューロンにおける一酸化窒素合成酵素の発現の漸増と超微形態的な変化があるが、これには細胞小器官の減少、核膜の湾入(窪み)、細胞核の中のクロマチンの小さな凝集塊がある。また末梢神経(大腿神経)を観察する事で、膝関節の筋に分布している幾つかの軸索での脱髄変性も明らかになった。興味深い事に、運動ニューロンの退行変性と脱髄は、膝関節の固定を除去して、膝関節の動きが回復する事で元に戻った。これらの所見は、カイロプラクティック・サブラクセーション複合体といった脊椎機能障害のモデルについての将来に向けての発展を支持するものだろう。
結論:今回の研究における脊髄と軸索の運動ニューロンの退行変性は、膝関節固定の結果であると結論を下すものである。標的組織活動の減少による運動ニューロンの一酸化窒素の媒介による酸化的ストレス・レベルの上昇は、テンジクネズミの成熟した脊髄の運動ニューロンの退行変性のメカニズムの一因となるだろう。(J Manipulative Physiol Ther 2010;33:328-337)
キー牽引項目:膝関節:固定:運動ニューロン:逆行性の退行変性:一酸化窒素合成酵素:顕微鏡検査:カイロプラクティック  

 臨床的適用
●今回の研究では、テンジクネズミの膝関節固定による神経の変性と再生について調査したが、これがカイロプラク
 ティック・サブラクセーション複合体の基礎を為すメカニズムに関する今後の研究にヒントとなる事を願っている。

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