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PAACニュース164号:23人の健康成人の一酸化窒素呼出に対する徒手医学治療の効果

2018/10/31

概観
目的:今回の研究の目的は、手技治療によって、健康成人が呼出する一酸化窒素に変化が生じるのか否かを測定する事である。
方法:研究は、(18~30歳の)健康成人を使って行われた。手技治療(manual tireatment)の前後に、電流測定法によって、一酸化窒素(nitiric oxide:今回の研究の目的は、NO)を測定した。行った治療は、頭蓋-胸椎ー僧帽筋ストレッチである。 
結果:健康成人では、手技治療と呼気中の一酸化窒素レベルの変化が関連していた。一酸化窒素レベルは、13.3 ± 2.09(標準偏差:SD)から1.50 ± 2.95(SD)ppb(10億分の1)まで増加した(被検者のペアード t 検定によるとP=.001)。手技治療前の一酸化窒素の中央値レベルは、(8~17ppbの範囲で)13.0ppbで、手技治療後のそれは、(6-18の範囲で)16.0ppbだった。
結論:今回の研究の健康成人の基準レベルと比べると、頭蓋-胸椎-僧帽筋ストレッチ(cranial-thoracic trapezius stretch)は、呼出される一酸化窒素の増加と関連していた。(J Manipulative Physiol Ther 2010;33:76-79)
鍵となる言葉:一酸化窒素:筋のリラクセーション:手技治療:カイロプラクティック

   
 図1.呼出される一酸化窒素を測定するため今回の研究で  図2.術者は、やや左方に移動し、両手で被検者の頭
 使用した呼吸検査器。                 部を持ち上げ、それから右手を被検者の頭部の幾分
                            左側で僧帽筋の起始部へ当てる。手の接触部位は小
                            指球である。術者は、被検者の頭部を最大屈曲位に
                            して、それから頭部を両手で支えている状態から
                            接触手(右手)で支える状態へと移行する。この
                            移行が終わったら、術者は、右肘を自分の右膝の
                            上やその付近に当てて、右腕を補強する、こうす   
                            る事で、術者の体と腕の間に確固たる"固定”が生
                            じる。

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  図3.(図2からの続きで)術者は、左手を被検者の左肩
  に当てて、テーブルに固定する。術者の固定手は完全
  回内させて、(被検者の)後方へ向ける。次にこの操作
  の開始肢位で、術者は、被検者の頭部を優しく押す。
  押す方向(角度)は、前方、そして外方である(即ち
  右方へ向ける)。これによって、僧帽筋が最大限に
  ストレッチされる。押す側の腕で前方に押すというより
  も、術者の体を優しく固定手の肘へ向けて誘導する事
  で、この押す操作を行う。右方へと押しているが、被検
  者の顎は、胸骨上切痕の中心近くに留まっていなければ
  ならない。これによって、頭部の過剰回旋が防止される
  だろう。過剰回旋は、術者と被検者の両者にとって主観
  的なものだが、被検者には上部頸椎の筋緊張(不快感)
  と僧帽筋の緊張欠如として感じられる。

              
                           (中略)

  臨床的な適用
  ●23人の被検者グループでは、徒手医学によって、呼出される一酸化窒素の基準線レベルからの増加が生じた。
  ●一酸化窒素は、疼痛緩和のための代替的な経路に関する役割を担っている。

                           (以下省略)
   
                      

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