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PAACニュース162号:肘部管症候群の保存的治療の際の神経力学的授動法:7例の長期間の追跡調査

2018/10/29

      Deran Oskay,PT,PhD、Aydin Meric,PT,PhD、Nuray Kirdi,PT,PhD、Tuzun Firat,PT,PhD
      Cigden Ayhan,PT,PhD、Gursel Lebicioglu,MD 著
                                         訳:栗原輝久

概観
目的:今回の症例シリーズの目的は、肘部管症候群(cubital tunnel syndrome:CTS)の保存的管理の際の神経授動法テクニックの効果について詳述する事である。
方法:肘部管症候群(CTS)の7人の患者が今回の研究に参加した。試験対象患者基準は、Megron の評点方式のグレード1と2の絞扼性神経障害はあるが、他の神経障害が無いというものだった。評価の際には、プログラムを開始する前、8週間に及ぶ機能回復プログラムの終了時、12ヶ月後の追跡調査の時点で、握力計を握る事:ピンチメーター(手指筋力測定器)を手掌部で握る事:視覚的アナログ尺度による疼痛レベルとチネル徴候:Semmes-Weinstein のモノフィラメント使用による(タッチテストでの)感覚:腕、肩、手の障害に関するトルコ式指標による患者の機能状態の評価を行った。理学療法プログラムには冷罨法、パルス状超音波、神経授動法テクニック、強化エクササイズ、姿勢適合、患者教育、人間工学的修正から成るものだった。
結果:観察期間中に今回の7人の患者の握力や摘む力は増強した一方で、疼痛;チネル徴候;腕、肩、手の身体障害指標の点数も減少した。
結論:今回の症例シリーズでは、軽度から中等度の肘部管症候群だと選別された患者について、保存的治療が有効だろうという事が実証された。今回の治療には滑走テクニック(gliding techniques)や緊張テクニック(tensioning techniques)といった神経力学的授動法が含まれていた。患者教育や活動修正による神経力学的授動法を用いた保存的治療にはある程度長期間の良好な結果が見られた。(J Manipulative Physiol Ther 2010;33:156-163)
鍵となる言葉:肘部管症候群:尺骨神経:機能回復:筋骨格系マニピュレーション 

                           
 神経滑走テクニック(nerve gliding technique)1      神経滑走テクニック 2 の際のポジション、患者は
  のポジション、患者は仰臥位、術者は肩関節外転90°    仰臥位、(術者は)肩関節外転 90°の状態で肩を
 の状態で肩を押し下げて外旋させる。頸部は反対側   押し下げ、外旋させる。次に術者は、前腕を回内位   
 へと側屈させる。肘関節を90°屈曲位にして、前腕    にして、肘関節を90°屈曲位(A)から140°(B)   
 を他動的に回内(A)、回外(B)させる。        まで他動的に屈曲させる。

    
 神経滑走テクニック 3 のポジション、患者は仰臥位、
 術者は、前腕を回内させて、肘関節90°屈曲位:肩
 関節90°外転位で、肩を押し下げて、外旋させる。
 次に術者は、肩関節90°外転位(A)から120°外転
 させた状態で肩を押し下げる。

   (以下省略)  
 

 

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