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PAACニュース161号:三点式シートベルトでの拘束のために生じた女性ドライバーの2つのレベルでの不連続の脊椎損傷

2018/10/28

         Ali Nourbaksh,,MD、Shashikant Patli,MD、Prasad Vannemreddy,MD、Donald Smith,MD 著
 
                                               訳:栗原輝久

摘要
目的:今回のケースの目的は、三点式シートベルトでの拘束のために生じた23歳の女性ドライバーの胸腰椎・腰仙部の不連続の脱臼骨折について詳述するというものである。
臨床的特徴:23歳の女性ドライバーが三点式シートベルトで拘束状態での自動車事故(motor vehicle accident:MVA)後に我々の所へ現れた。右下肢へのL5神経根分布領域の運動機能喪失を除くと、彼女には神経学的損傷は受けてはいなかった。コンピューター断層撮影画像と核磁気共鳴画像によって、T3の重度の後方辷りを伴った脱臼骨折、仙骨上でのL5の完全前方辷りが明らかになった。
治療とその結果:両部位の骨折は征服されていて、骨移植片と器具による固定を受けていた。彼女は、他の神経学的損傷が全く無い状態で1ヶ月後に退院した。
結論:我々の知る限り、今回のケースは、脊柱の不連続な脱臼骨折を生じさせたシートベルトの安全拘束に関する文字通り最初のレポートである。シートベルトによって、殆どの脊椎損傷は防止できるというのが大多数の意見だが、今回の症例では、シートベルトが脊椎損傷の引き金になりうるという事を示している。肩ベルト(三点式シートベルトの中で肩に斜めに当たるベルト部分)の拘束が上部と下部のバンド部分での2つの支点となる事があり、これによって不連続な2部位の脱臼骨折を生じさせるという事が示されている。シートベルトでの拘束状態での道路交通事故の症例に関しては、臨床所見に関しての脊柱の徹底的な放射線学的評価を行う事が義務である。(J Manipulative Physiol Ther 2009;32:592-596)
鍵となる言葉:脊柱:骨折:脱臼:辷り症

   
 図1.胸椎のコンピューター断層撮影の矢状断画像、   図2.胸椎の核磁気共鳴画像、骨折したT3の後縁が脊
 T3の骨折とT4上での後方辷りが見られる。       髄を侵害しているのが判る。

   
 図3.腰椎のコンピューター断層撮影の矢状断画像、   図4.腰椎の核磁気共鳴画像、脱臼したL5レベルの
 L5の脱臼骨折と仙骨上での完全前方辷りが見られる。  神経根は無傷である。

   
 図5.胸椎の単純レントゲン像、T3からT4の減圧のた  図6.L5での両側減圧のための腰椎椎弓切除術と椎弓根
 めの椎弓切除とT1からT9までの後部固定器具使用が  へのビスとロッドを用いたL4からS1までの固定術。
 見られる。

 (以下省略)

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