PAACニュース160号:腰痛を合併した褐色細胞腫の症例

2018/10/26

                            Matthew A.Davis,DC、Geoffrey M.Bove,DC,PhD 著

                                               訳:栗原輝久

概観
目的:今回の症例報告では、腰痛のためにカイロプラクティック・オフィスを訪れた褐色細胞腫の患者について詳述・議論する。
臨床的特徴:今回の患者は、51歳の女性で、自然発生的で筋骨格系だと思われる腰痛のために、自分で我々のカイロプラクティック・サービスを訪れた。カイロプラクティック診断の4日後、うっ血性心不全、左室機能異常、低血圧の徴候を伴った心原性ショックに陥った。腹部のコンピューター断層画像(CTスキャン)によって右副腎に塊が発見され、これが検査機関の分析によって褐色細胞腫だと確認された。
治療とその結果:この患者は、腹腔鏡下での副腎摘出術を受けて、完全に回復した。腫瘍切除によって、彼女の背部症状は解消した。
結論:褐色細胞腫は、カテコールアミンを産生する副腎の腫瘍で、腰痛のような筋骨格系症状に類似した状態を呈する事がある。カイロプラクティック施術者は、様々な臨床像を認識し、褐色細胞腫が疑われる時には、診断上の評価と治療のために、メディカル医へと即座の照会を行わなければならない。(J Manipulative Physiol Ther 2007;30:598-601)
鍵となる言葉:褐色細胞腫:腰痛:副腎;カイロプラクティック 

         
         図1.前頭断(A)と矢状断(B)のCTスキャン画像。右腎臓上部の褐色細胞腫
                        が示されている。画像 A の垂直の点線は、画像 B の断面を示している。存在
         する塊の最大直径は約8cmだと測定された。

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