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PAACニュース159号:足関節の前方から後方への授動法の際の力ー移動の関連性

2018/10/26

 Marcelo v.S.de Souza,PT,MSc、Clauda Ventrini,PT,MSc、Luciana M.Teixeira,PT、Mauro H.Chagas,PhD
 Marcos H.Chagas,PhD、Marcos A. de Resender,PT,PhD 著

                                            訳:栗原輝久

概観
目的:今回の研究の目的は、距骨に対する前方から後方への他動的な授動法の際の力-移動との間の関連性と、足関節の背屈の可動域(ROM)におけるこの治療テクニックの効果を明らかにする事だった。
方法:今回のものは、予備的な手法調査である。2人(AとB)の評価者は、25人のメイトランド(Maitland)のグレードⅢとⅣの授動法を行った。加えられた力は、小さな力測定板を使って、評価者にコンピューター・モニター上で示した。足関節の直線状の移動は、1つの運動分析システムを使って定量化した。これらの2つのシステムを同期化したものは、ソフトウェアによって入手した。授動法前後の足関節の自動背屈運動可動域は、2方向の角度計を使って評価した。力と移動の変量に関するピアソンの相関係数(いわゆる普通の相関係数)を用いて統計学的分析を行い、ペアード t 検定(対応のある2つの母平均の差の検定)によって、背屈可動域の平均値を比較した。
結果:評価者Aのデータのみに関しては、力の強さと移動との間には偏りの無い正相関が発見され(r=0.370:P=0.49、1-tailed)、最小限の力と移動との間には偏りの無い逆相関(r=0.404;P=0.35、1-tailed)。授動法の前後の可動域を比較すると、右足関節のの背屈が大きく増している事が判ったが、これは左足関節では生じなかった。
結論:これらのデータは、メイトランドのグレードⅢとⅣの他動的関節授動法の際の直線状の力と移動との間にある力-移動の線形相関を支持するものではないが、これらのデータから、関節授動法の直後に足関節背屈可動域が増大した事が確かとなった。視覚フィードバックを用いる事で、足関節への授動法の際に加えられた力に関する評価者間の信頼性が増すだろう。(J Manipulative Physiol Ther 2008;31:285-292)
鍵となる言葉:足関節:可動域:手技療法;手法調査 

 臨床的な適用
 ●一般的に受け入れられているメイトランドのグレードⅢとⅣの授動法の際の力と移動との間の線形相関は、足関節
  では発見されてはいない。
 ●今回の研究結果は、今までの科学文献の所見を裏付けるものなので、距骨の前方から後方への授動法は、同側の足
  関節の背屈可動域を増大させると思われる。
 ●視覚フィードバックは、足関節の授動法の際に用いられる力を良く再現する源となるだろう。
 ●今後の研究は、足関節の授動法による可動域の改善の様々な作用メカニズムを考慮しなければならない。

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