PAACニュース155号:C2の病的骨折を伴った椎骨への転移の症例

2018/10/23

                              Matthew A.Davis,DC、John A.M.Taylor,DC 著

                                               訳:栗原輝久

概観
目的:患者は68歳の男性で、頸部痛を訴えていたが、彼の主治医からカイロプラクティック・オフィスへと照会されてきた。強いクシャミをした時に最初の頸部痛が生じたが、その際に首の中で"小枝が折れた"ような感覚が生じたが、レントゲン写真によって、C2の骨破壊と棘突起の病的骨折が明らかになった。
処置と結果:この患者H、係りつけの医師の元へと戻され、それから専門医へと照会され、即座に放射線と鎮痛剤での治療が開始された。カイロプラクターによる緩和ケアは、関連する筋の痙攣と疼痛を治療するための頸部痛への軟部組織マッサージだった。この患者は、穏やかな筋膜治療に良好な反応を示した。しかしC2後部構造の骨破壊が進行し、C2の不安定性サブラクセーションとそれに関連した脊髄圧迫が生じた。堅固なカラーで脊椎を固定したが、骨破壊は進行し、遂には四肢麻痺が生じ、その後、呼吸困難から亡くなった。
結論:癌の病歴があって、背部や頸部の疼痛を訴えている患者については、他のものが立証されるまで、椎骨への転移を想定するべきである。これらのケースでは、些細な外傷でも重要視するべきで、臨床検査や画像による検査を行わなければならない。椎骨の悪性病変には脊椎マニピュレーションは禁忌だが、カイロプラクターは、早期の発見と診断に重要な役割を担っている。(J Manipulative Physiol Ther 2007;456-471)
鍵となる言葉:転位:脊椎骨折:頸椎:カイロプラクティック

 
図1.患者が最初に頸部痛を感じた時に撮られた頸椎 図2.(A)最初のレントゲン前後像と(B)水平断の
の側面像(A)と開口前後像(B)。C2棘突起の骨破壊と CTスキャン画像、図Bの矢印は右肺門部を示し
病的骨折が見られる(図Aの矢印)          ている。(C)一連の放射線治療後に撮られた胸部
                         レントゲン前後像、広範な肺門部付近の浸潤と
                         肺門部塊の周辺での含気スペースの欠如が判る
                        (図Cの矢印)

  
図3.(初診時から)6週後(A)と17週後(B)に    図4.99mテクネチウムメチレンジホスホン酸塩を24
撮られたレントゲン像、17週後のものでは、   mci(ミリキューリー)注射後の放射性核種スキャン画像、
C3上でのC2の前方変位を伴ったC2の棘突起    頸椎と頭蓋の冠状面(矢状面?)(A)と全身の前後像(B)。
と椎弓の全体の進行性で浸潤性の骨破壊が    上部頸椎領域(図Aの陰影部分,図Bの上の矢印)、左大腿骨          
見られる。                    中枢側皮質部分(図Bの下の矢印)、右第6肋骨肋軟骨結合部
                         に異常活性が見られる。放射性医薬品の取り込み増加の見
                       られるこれらの部位は、転位病巣の骨格への沈着を表して
                         いる。

(中略)

 臨床的な適用
 ・癌患者が新たに頸部痛や背部痛を訴えて来院した際には、他の原因が立証されるまで、脊椎転移があるかもしれな 
  いと想定しなければならない。
 ・脊椎転移の際に最も一般的な臨床所見は疼痛だが、神経学的症状がみられるかもしれないし、みられないかもしれ 
  ない。
 ・癌患者については、些細な外傷でも重要視して、適切な診断画像による評価を行わなければならない。

(以下省略)

 

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