PAACニュース154号:頸髄症:危機一髪!あわや合併症、ある症例報告

2018/10/22

概観
目的:頸椎マニピュレーション後に、椎間板ヘルニアに続発した神経根障害や脊髄障害が生じた複数の症例が報告されてきた。各々のケースについて、マニピュレーションによって神経学的症状や徴候が直接引き起こされたのか否か、あるいはその障害の自然な経過の一部として生じてきたのか否かを明らかにする事はできない。このレポートの目的は、椎間板ヘルニアによる神経根症状のあるにマニピュレーションを行う予定を立てたが、マニピュレーションを受ける直前に、脊髄症が生じた例について報告するというものである。
臨床的特徴:非観血的診断のために、腕の疼痛と痺れがある1人の患者が神経外科医から照会されてきた。彼にはC5-C6の巨大ヘルニアがあったが、神経根症状の徴候や症状はみられなかった。彼にはマニピュレーションを含む非観血的治療を行う事を決定した。2回目の来院時にマニピュレーション治療を行う予定を立てた。
治療とその結果:初診から10日後でマニピュレーション治療を行う前に、この患者に神経根症状を示唆する症状が生じ、後の検査で椎間板ヘルニアによる急性脊髄症である事が明らかとなった。
結論:頸椎椎間板ヘルニアは、自然な経過の一部として脊髄症へと進行する事がある。このために、頸椎マニピュレーション後に生じる神経根障害に対する全ての治療、あるいは他の操作を行うには、慎重でなければならない。(J Manipulative Physiol Ther 2008;31:553-557)
鍵となる言葉:椎間板の変位:脊髄疾患:マニピュレーション:脊柱:合併症:神経根障害:カイロプラクティック:副作用 


図1.頸椎の矢状断T2強調画像、脊髄を圧迫し、変位させ  図2.頸椎のT2強調画像、脊髄を圧迫して変位させている
ているC5-C6の巨大ヘルニアが明らかになっている。    C5-C6の巨大ヘルニアが明らかになっている。

(中略)

 臨床への適用
  ・頸椎マニピュレーションを頸椎の神経根障害や頸髄症の原因としてきた数多くの症例が報告され続けてきた。
  ・他の誘発因子が無くとも、頸椎椎間板ヘルニアの自然な経過の一部として、神経根障害や脊髄症への進行が生じ
   る事がある
  ・今回の患者では、C5-C6の椎間板ヘルニアに続く頸椎の神経根障害が生じた。彼は、マニピュレーションを含む
   治療を受ける予定だったが、初回治療の前に、外科手術が必要となる脊髄症が生じた。
  ・マニピュレーション後に神経根障害や脊髄症への進行が生じた症例では、マニピュレーション治療が行われなく
   とも、障害の自然な経過の一部として、この進行が生じる可能性を考慮しなければならない。

   (以下省略)

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