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PAACニュース147号:エクササイズ・ボールは、体幹の伸筋エクササイズとして優れているのか?生体力学的評価

2018/10/18

   Jannesa D.M. Drake,MSc、Steve L.Fischer,BSc、Stephen H.M.Brown MHK、Jack P.Callagan,PhD 著

                                             訳:栗原輝久

概観
目的:マットとエクササイズ・ボールの両方を用いた腹筋エクササイズについては、量的な評価が行われたものは、これまでほんの僅かしかなかった。にも拘わらず、確実な根拠も無いままに、エクササイズ・ボールは、あらゆるエクササイズに有効であると報告されていた。今回の研究の目的は、2つの器具(マットとボール)での伸筋エクササイズの際の脳の活動、腰椎の状態、負荷変数についての生体力学的な反応の違いを評価する事である。
方法:8人の被検者の7つの部位(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、広背筋、腰椎と胸椎の脊柱起立筋、多裂筋)について両側の筋の活動を記録した。筋電図測定器を用いて脊柱の負荷を計算した。
結果:ボール上で伸筋エクササイズを行ったところ、体幹の屈筋と伸筋の共同収縮が30%まで減少した。伸筋エクササイズをボール上で行った時には、筋の最高活動点は変化しないか、あるいは減少した、そして脊柱への負荷(圧縮や前後の剪断)も減少した。このエクササイズをマットとボールを使って行っても、腰椎の状態に違いは見られなかった。
結論:エクササイズ・ボールの使用が筋骨格系にとって大きな負荷を生じさせるだろうという憶測は、今回の研究の所見では立証されなかった。同様に、健康な若年層では、ボールやマットを用いての伸筋エクササイズについて、ボールを用いたものの方がマットを用いてのものよりも優れているという事はないようだった。しかしリハビリテーション計画においては、ボール上で伸筋エクササイズを行う事で、腰部への負荷が減少するので、再障害の可能性も減少できるだろう。(J Manipulative Physiol Ther 2006;29:354-362)
鍵となる言葉:筋電図:運動療法:リハビリテーション (以下省略)

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