PAACニュース136号:線維筋痛症の謎

2018/10/12

  JACA(JOURNAL OF THE AMERICAN CHIROPRACTIC ASSOCIATION)2004年6月 VOLUME 41 NO.6より

                                              訳:栗原輝久

 (Growersが線維筋痛症を炎症状態として結合組織炎と呼んだ)1904年よりずっと以前から、医学は線維筋痛症と呼ばれる難治性の慢性痛症候群を知ってはいたが、合衆国リウマチ学会がその最初の明確な診断上の定義を発表したのは1990年であった。実際には四半世紀前に、今では線維筋痛症の中心的な要素である"圧痛点”について、エジンバラの医師が記述した。1976年、この症候群の患者に炎症が発見できなかった事を科学者が認識したにも拘わらず、線維筋痛症という名称が"結合組織炎"という誤解を招き易い言葉に置き換えられてしまった。
 しかし初めて本症が記述されてから100年、その最近の名称が与えられてから殆ど30年、そしてこれに診断上の特徴付けが行われてから15年が経過しても、線維筋痛症という名称は理解しにくいままである。合衆国線維筋痛症協会(NFA)による。3~6%のアメリカ人に線維筋痛症症候群(FMS)がみられるが、本疾患の隠れた病因については謎のままである。本症の診断を行う事でさえ困難だが、NFAは、FMS患者を正確に診断するには最長で4年かかる事があると報告している。
 当初、合衆国リウマチ学会が線維筋痛症の診断基準を以下のように定めた。
🔸最低でも3ヶ月間に及ぶ四肢全ての広範な疼痛
🔸18カ所の特有の圧痛点に圧を加えた時に最低でも11ヵ所の圧痛や疼痛がある。
 これらの18ヶ所の"圧痛点”の部位は、頸部、肩、胸部、臀部、膝、肘の部位に集中している。これらの部位は:
🔸後頭下筋群の付着している左右どちらかの頭蓋底:
🔸第5~7頸椎の間の左右どちら側かの頭部:
🔸身体の左右どちらか側かで、頸部から肩へと走行する筋(僧帽筋上部)の中心点
🔸身体の左右どちら側かで、肩甲骨上縁に沿って走行している棘上筋の起始部:
🔸左右どちらか側で、第2肋骨が胸骨と結合する肋骨上縁の部位、これは胸筋の中にある。
🔸左右どちらか側かの肘の外側で、突起(外側上顆)の直下部
🔸左右どちらか側かの大きな臀部の部位、中臀筋の前方で臀溝の上外側部:
🔸左右どちらか側かの股関節の大きな隆起(大転子?)の直下:
🔸左右どちらか側かの膝関節の内側直上部の脂肪の豊富な部位(以下省略)

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