PAACニュース127号:脊柱手技療法中に椎骨動脈が蒙る内的な力

2018/10/07

                        Bruce P.Symons,DC、Tim Leonard、Walter Herzog,PhD 著
 
                                               訳:栗原輝久

摘要
背景:脊柱の手技療法(spnaila manipulative therapy:SMT)は、幾つかの筋骨格系障害の管理に関して臨床的に効果的な方法だとして確立されてきた。脊柱手技療法の使用に伴う1つの主要な問題は、その安全性にある。特に頸部のマニピュレーションは関しては、椎骨脳底動脈系の発作の危険性である。
目的:我々の目的は、脊柱手技療法中に椎骨動脈(vertebral artery:VA)が蒙る伸張と力を本来の位置で定量化する事である。
研究の意図:これは屍体による研究である。
方法:防腐処理していない死後硬直後の屍体の6本の椎骨動脈を使えた。椎骨動脈の頭方で中枢に近い部分(C0-C1)と尾方で末梢から中枢へと向かう部分(C6-鎖骨下動脈)の環を慎重に暴露し、一対の圧電式の超音波検査の水晶振動子を取り付けた。可動性検査と診断のための検査、そして様々な脊柱手技療法操作の最中に各々の対になった水晶振動子間の伸張を記録した。それから椎骨動脈を分離して、機械的な障害が生じるまで材質検査機器において伸張させた。
結果:検査した椎骨動脈の反対側の頸椎への脊柱手技療法の結果、平均して椎骨動脈の中枢に近い部分(C0-C1)の環に6.2%±1.3%、遠位部(C6)には2.1%±0.4%の伸張が生じた。これらの値は、診断上の、または可動性検査の最中に記録された伸張と同じ、あるいは低かった。障害検査によって、椎骨動脈の機械的な障害が生じるまでに、静止長の139~162%まで伸張させることができる事が明らかになった。それ故、脊柱手技療法中に椎骨動脈が蒙る伸張は、機械的な障害時の伸張の約1/9だという事が判った。
結論:脊柱手技療法の結果として椎骨動脈に生じる伸張は、椎骨動脈を機械的に損傷させるのに要する伸張の強度よりも大幅に低かった。我々は、通常の状態では、1回の典型的な(素早い、振幅の小さな)脊柱手技療法のスラストが椎骨動脈を機械的に損傷させる事は非常に少ないと結論するものである。(J Manipulative Physiol Ther 2002;25:504-10)
鍵となる言葉:カイロプラクティック・マニピュレーション:椎骨動脈:(脳卒中)発作(以下省略)
 

PAGE TOP